バイエルンサポーターの侮辱行為について私見

3 月 3rd, 2020

当初、ホッフェンハイム対バイエルン戦の記事に追加しようと思っていました。
途中までをアップしたのですが、長くなるとは言っていたとはいえ、
ここまで長くなるとは自分でも思っていなかったので、急遽別記事にしました。

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シッ●ケリアやレッド●ワーなど、バイエルンサポーターグループは、いつも
遠い国で行われるアウェーゲームであっても選手達を後押しするパワーを注いでくれている
大事な、心強い”チーム”であり、こんな事で責めを負ったりクラブとモメるのは辛いです。
しかし、今回の事については、永久にアリアンツアレーナからは閉め出されても仕方ないかも… うーん

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元ホッフェンハイムのフリックなんか激怒してましたよね。
アラバとかもかなり激しくアピールして説得してましたし、観ていて辛い場面が続きました。

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個人攻撃という、彼らの行いは決して擁護できる事ではありませんが、
擁護したい点としては、これはドルトムントやシャルケでも行われていた、
サポーターの主張に目を向けさせる為の一連のアピールだったと言う事です。
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日本のマスコミの不十分な報道で、「侮辱的表現」がいつの間にか「差別的表現」に勘違いされた事、
バイエルンサポの行動が「相手チームを侮辱する」行動として報道されてしまった事は
日本での報道でこの件を知った方々に、正しく知って欲しいと思います。

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「売春婦の息子」という言葉が売春を生業にしている女性を差別している、と
怒りをあらわにしている、優しい日本人の皆様を否定するつもりはありませんが、
英語でもあの言葉は「クソ野郎」という意味のスラングとして一般的なようです。
サポの中にも居る、小学校と職業学校しか出ていないなど、高校も行っていない労働者階層には
キレイな言葉で表現するのはなかなか困難なのかもしれないのですが、
要するに、「お前は最低なヤツだ」と罵りたかっただけなんでしょう。
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で、クソ野郎と言う相手は、ホップ氏だけではなく、
ホップ氏の財力と発言力を怖れた(またはそれにすり寄る姿勢の)DFBに対してもなんですね。

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さて、ここで問題となっているのは、ブンデスリーガのそもそもの立ち位置です。
日本のJリーグも手本にした地域密着型・ファン密着型のスポーツチームのあり方です。
プレミアやらに見られるような1オーナーのチームというものの存在を認めていません。
みんなのクラブなのです。
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“金満”と誤解され易い我らがFC バイエルン・ミュンヘンですが、
もともとは他のクラブと同じ、地域のスポーツクラブです。
ブンデスリーガ設立時には仲間に入れてもらえなかった、そんなレベルのチームが
特定の大企業の資本など無くとも、みんなの努力で強くなり、
またウリ・ヘーネスのマネージメントで潤沢な資金力も得る事ができました。
かつては練習場の脇の小屋で着替えをしていたという環境とは変わって
4面のピッチ(確か)と立派なクラブハウスを持ち、昨年にはガルヒンクに立派な施設を造り、
その広大な場所にアカデミーを設立、ユースをそちらに移転させ、
また、商業収入も世界トップクラスのビッグクラブに成長したのです。
会員数は世界最大です!
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…て、会員数てなんやねん?
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そこなんですね。
ブンデスリーガのほとんどのクラブはこの会員によって運営されている訳です。
バイエルンは法人を設立していますので、実際の運営はその法人ですが、
意思決定の際は23万人の会員にも委ねられているのです。
株式会社の株主という感じかもしれません。
FCバルセロナのクレにも近いかもしれません。
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ウリが出獄した後の会長選挙の時は、私自身もウリに一票投じました。
ヤフコメでもさんざん「犯罪者を会長にするようなクラブ」と罵られましたが、
会員の総意が反映した結果ですから、まぁ仕方ありませんわ。
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毎年、株主総会ならぬ会員総会が、近年はミュンヘンのAudiドームで行われています。
バイエルンは移籍情報をシーズン中にバラす、とか非難されますが、他のクラブでも同様に
この会員総会や株主への報告義務として、方針を報告したりするんですね。
株主さんと同じく、会員も会費という出資をしている訳です、報告を受ける権利があります。
その他、会員の特典は試合のチケットが300~500円程安くなったり、博物館が300円程安くなる程度です。
13000円のチケットが300円安くなるんですよ。
アマチュアのチケットでなぜか500円近く安くなった事があった程度なんですよ。
あっ、昨年から「51」という月一の会報が創刊されました。
(それまではごく短期間デジタルマガジンがありました。
 その前はマッチデーに雑誌が発行されていて、海外からは1シーズン4000円程で購読できました。
 ただこれは会員でなくともショップやスタジアムで買えました)

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このクラブ員制度を重んじるブンデスリーガでは、クラブの決定権(株式等)の51%はクラブ員に
その他の個人投資家やら企業などは49%までしか口出しできない事となっています。
クラブの方針を決定づける過半数は「みんな」にあるのです。
…バイエルンの会報のタイトル思い出して頂けましたか?
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ところが、そうも言っていられないクラブが一部リーグには2つありました。
バイエル04 レバークーゼンとVfLヴォルフスブルクです。
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04ですからね。 1904年から一世紀以上ある企業内クラブチームです。
大手製薬会社内のクラブとはいえ、同好会が強くなっちゃった的な感じです。
大手自動車会社のフォルクスワーゲンの城下町のヴォルフスブルクも同じ様な感じです。
まぁ、既に一部リーグに居るここを例外にせんとなぁ、とルールに特記事項を設けたら
そこの穴を突いて来た企業や投資家が居た訳です。
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で、今回の騒動で個人攻撃されたホップ氏の話です。
ホップ氏はホッフェンハイム出身でこの小さな小さな町のクラブに子供の頃所属していたとはいえ、
大金持ちになった個人が、趣味か何かで町の小さな素人クラブ(7部だか8部にいた)に資金をつぎ込み
選手を買い、スタッフを買い、一部リーグのクラブに仕立て上げた事は、まるで夢物語の様で素敵ですが、
健全な経営形態かと言えば、それは決してそうとは言えないというのが今回の問題点なのです。
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同じ事をしたのがRBライプツィヒでしょう。
世界的大企業がアマチュアクラブを購入して、そこに資金をつぎ込んであっという間にプロにしました。
ブンデスリーガではオイルマネーの投資などのように企業が参入できないはずが、
アマチュアクラブの後ろ盾に大資本があるというスタイルで参入を果たしました。
歴史あるレバークーゼンは例外として、企業名を入れられない代わりに
「RasenBallSport(芝生のボールスポーツ)」なんてムリヤリなチーム名を付けて
略してRBかよと。 レッドブルのマークもしっかり入ってるし!
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こんなことが続けば、本来目指したリーグのあり方が変わってしまうという
危惧が指摘され続けているにもかかわらず、資本との癒着をしてか何もしないDFBを糾弾する
そういう意図で、いくつものクラブでのこの一連のサポーター集団の行動があったのです。
ブンデスリーガのクラブは、そこに生まれそこに育った「みんな」のものなのです。
そこに生まれてそこに育った「誰か」のものではないのです。
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そこに地元愛があれば良いとかの問題ではないと言う事です。
愛のあるホッフェンハイムはOKで、愛の見えないライプツィヒはNGと、どうして線引きできますか。
決まりは決まりなのです。
これを許せば海外資本のマネーゲームの場ともなりかねません。
日本人が「プレミアみたいでもいいじゃないか」と口を挟む事でもありません。
ドイツ人は秩序重んじる人々です。
(話は逸れますが、ドイツ語で「大丈夫!」という言葉は直訳すると「秩序の内に」となります(笑。
 さらに逸れて、バイエルンの練習場やスタジアムの整理係?セキュリティ?の人々の制服の背には
 「秩序」と書かれています。秩序を保つ係なんですね。ドイツっぽくて見る度ニヤニヤしてしまいます。)

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お隣オーストリーのブンデスリーガも、基本、ドイツ同じような成り立ちです。
そこにSV アウストリア・ザルツブルクというクラブがありますが、
ここのクラブ員も、今回のバイエルンやドルトムント、シャルケ、
グラートバッハなどのサポーターと同じように考えたのだと思います。
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かつて自分たちの愛したクラブにレッドブルという自国の大資本の参入があり、チーム強化され、
気が付けば全く別のクラブと成り果てた事で、一部のサポーター達はRBと交渉を重ねたけれど
決定権はもはや彼らには無く、彼らはクラブを見限り、新たに元の姿のクラブを作り直しました。
彼らが去ったクラブは現在、オーストリーきっての強豪となっている反面、
歴史あるクラブの本来の姿を再現した「新しい」クラブはまだかつての栄光には遠いようです。

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他人事ではない身近な話としては、
今季も3部でバイエルンIIとミュンヘンダービーが行われているTSV 1860ミュンヘンがあります。
一昨年だったか、4部相当のアマチュアであるレギオナルリーガの対戦でミュンヘンダービーを観ました。
市立スタジアムが熱くて面白かったのですが、元々ブンデス2部だったはずのゼヒツィヒが4部に居たのです。
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2011年、破産の危機に瀕した1860ミュンヘンを救ったのはUAEに本拠を置くHAMGグループのCEO、
ヨルダン人の投資家、ハサン・イスマイク氏でした。
クラブの運営法人であるTSV 1860ミュンヘン e.V.の株式の60%を購入したイスマイク氏も
投票権は49%とされていますが、財布を握っている事には違いありません。
16/17シーズンの入れ替え戦でレーゲンスブルクに負けたゼヒツィヒは3部落ちするはずでした。
ところが、イスマイク氏は3部なんて許さん、そんなカネ払えるか!とプロライセンス料を出し渋り
3部に参加する費用を払えなくなったゼヒツィヒは遂にアマチュア落ちとなった訳です。
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まぁ、結局はさっさと4部で首位に立ち、一年でプロ復帰した訳ですが。
なんだかんだ言って3部でも払うんじゃん、と思いました(笑。

ゼヒツィヒ詳しくないので、違っていたらスミマセン。

ともかく、誰か一人の意志で愛するクラブがプロで無くなったりとかはイヤでしょう。
アリアンツアレーナの利用権を手放したのもこれと前後してでした。
アリアンツアレーナ建設の費用のゼヒツィヒ負担分はバイエルンが肩代わりし、
バイエルン専用スタジアムとなりました。

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ホッブ氏の愛のあるホッフェンハイム、
万一ホップ氏の愛が衰えたら、ホップ氏が急死したら
人口3万5千人のジンスハイム市のホッフェンハイム地区にあるクラブは独自採算でやって行けるのか、
ジンスハイムという小さな町にある3万人収容のスタジアムは維持できるのか、
(26万人の町に6万人スタジアムのゲルゼンキルヒェンとかも凄いですが)いろいろ心配はあります。

ここまで大きく育ってしまってからではどうしようもないとしても、
本来のクラブのあり方としてはやっぱり健全な運営であるべきだとは思います。
今後はいびつなチームが出ないように、これが解決されなければ
各地のサポーター集団の問題提起行為は続くと思われます。

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外国人が彼らの心情を推し量ることできませんが、バイエルンの会員23万人の一人として、
誰か別の1/23万の個人が財力でチームを思いのままにするとしたら、面白くはないだろうなとは思います。
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そしてもし、選手やスタッフが一新してしまい、チームカラーやエンブレムが変わったなら、
そこで元のスタッフや選手が新しいクラブを作ったら、そっちに自分は流れる気はします。
ザルツブルクのように。

だからサポーター集団が抗議する事に対しては、気持ち的に一緒ではあります。
しかし、方法は支持できないな、と困惑しています。
ブンデスリーガとしては今回の行動についてはお咎め無しのようですが、
クラブと、またはハンジとサポーターの間に溝が出来てしまったら、とそれも気がかりです。
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